
豆腐の移動販売で一番大切なことは「豆腐の品質」になります。何よりも自分自身が食べて「これなら絶対に御客様に喜んでもらえる」と確信の持てる豆腐を選定することが大事です。
ただ、その豆腐を見つけても「その豆腐を仕入れられるか」のハードルが次に来ます。この段階で豆腐の移動販売を志す人の90%が脱落するか若しくは安易にフランチャイズ加盟に走るのです。
今回は私の実体験を基に、品質の高い豆腐の仕入れ先開拓ノウハウと共に、それを売りまくっていく弱者の戦略を書いていきます。強いライバルが居ても勝ち残る戦略ですので御安心下さいね
豆腐の仕入れ先の開拓方法
美味しい豆腐を販売する上で、何よりも重要なのが質の高い豆腐を安定的に仕入れることです。段階的に仕入れ先を開拓していく方法をまとめました。
1. 情報収集とリストアップ
まず、どのような豆腐を扱いたいのか理想とする豆腐像を明確にしましょう。
種類: 木綿豆腐、絹ごし豆腐、充填豆腐、 胡麻豆腐、よもぎ豆腐など
製法: 天然にがり、海水にがり、国産大豆、有機大豆など
特徴: 大豆の風味、滑らかな舌触り、しっかりとした食感など
これらのイメージを具体的にすることで、探すべき豆腐が見えてきます。
次に仕入れ候補先の情報を集めリストアップします。
地域の豆腐店: インターネット検索はもちろん、地域のタウン誌や情報誌、口コミサイトなどを活用しましょう。実際に足を運んでみるのも大切です。
地域の食品メーカー・卸売業者: 地域によっては、複数の豆腐店の商品を取り扱っている卸売業者や、自社で豆腐を製造している食品メーカーがあります。
農産物直売所・道の駅: 大豆の栽培から手掛けている豆腐店や、地元の農家と提携している豆腐店が出店している場合があります。
食品関連の展示会・イベント: 地域や全国で開催される食品関連の展示会やイベントは、新たな仕入れ先を見つける良い機会です。
同業者からの紹介: もし知り合いに豆腐の移動販売や飲食店を経営している方がいれば、仕入れ先について相談してみるのも有効です。
SNS: 地域に根差した豆腐店が情報発信している場合があります。積極的にフォローし、コンタクトを取ってみましょう。
リストアップする際には、店名、所在地、連絡先だけでなく、どのような豆腐を製造・販売しているかの情報も記録しておくと、後の選定がスムーズになります。
2. コンタクトと交渉
リストアップした仕入れ候補先の中から理想に近い豆腐を作っていると思われるところに積極的にコンタクトを取りましょう。
電話・メールでの問い合わせ: まずは電話やメールで、移動販売を始めること、取り扱いたい豆腐の種類や量、取引条件などを丁寧に伝え、面談の機会をお願いしましょう。
直接訪問: 可能であれば、実際に店舗や工房を訪問し、製造工程や豆腐作りへのこだわりを見学させてもらうと、より深く理解することができます。
私の場合は直接訪問して製造元の社長に熱意と事業計画書をプレゼンしました。ちなみに製造元は地元の創業100年の老舗です。しかしながら熱意で押しきりました。自分を信じて行動すれば道は拓けます
試食: 是非、実際に豆腐を試食させてもらい、品質や味を確かめましょう。複数の仕入れ候補先の豆腐を比較検討することが重要です。
条件交渉: 仕入れ価格、最低ロット数、配送方法、支払い条件などを交渉します。移動販売の規模や販売計画を具体的に伝え、双方にとって無理のない条件を目指しましょう。
契約締結: 双方合意に至ったら、契約書を作成し、取引を開始します。契約内容をしっかりと確認し、不明な点は必ず質問しましょう。
3. 関係構築と維持
仕入れ先との良好な関係を築き、維持していくことは、安定した仕入れと質の高い豆腐の提供に不可欠です。
丁寧なコミュニケーション: 発注や納品に関する連絡は正確かつ迅速に行い、感謝の気持ちを伝えましょう。
定期的な情報交換: 販売状況や顧客の反応などを共有し、より良い商品開発や販売方法について意見交換をすることも有益です。
信頼関係の構築: 約束を守り、誠実な対応を心がけることで、長期的な信頼関係を築きましょう。
感謝の気持ちを伝える: 定期的に感謝の気持ちを伝えることで、より良好な関係を維持できます。
強いライバルがいる中で戦う弱者の戦略
私が懸念していたのは、むしろ豆腐の品質よりも「強いライバルの存在」でした。そのライバルは地元で店舗展開していて平日でも行列の出来る人気の豆腐屋です。
そして移動販売も約10年前から行っていて、まさに独占状態でした。しかしながらランチェスター戦略(弱者の戦略)を使えば勝ち目は有ると考えていました
1. 差別化戦略
競合他社との違いを明確にし、顧客に選ばれる理由を作ります。
商品の差別化:
高品質・高付加価値: 有機大豆や希少な天然にがりを使用するなど、素材や製法にこだわり、他にはない高品質な豆腐を提供する。
独自の商品開発: 豆腐を使った創作料理、デザート、おつまみなどを開発し、豆腐の新たな可能性を提案する。
季節限定・地域限定商品: 旬の食材を使った豆腐や、地域特産の食材を取り入れた豆腐を販売する。
ギフト需要の開拓: おしゃれなパッケージや詰め合わせを用意し、贈答品としての需要を開拓する。
販売方法の差別化:
移動販売の強みを活かす: 住宅街、オフィス街、イベント会場など、競合が出店していない場所や時間帯に出店する。
顧客との接点強化: SNSを活用した情報発信、試食販売、顧客とのコミュニケーションを積極的に行い、ファンを育成する。
オンライン販売の導入: 地域外の顧客にもアプローチできるよう、オンラインショップを開設する。
予約販売・定期購入: 顧客の利便性を高め、安定的な売上を確保する。
サービスの差別化:
丁寧な接客: 親切で丁寧な接客を心がけ、顧客満足度を高める。
レシピの提供: 豆腐を使った簡単なレシピを提供し、顧客の利用促進を図る。
健康相談・食育: 豆腐の栄養価や健康効果に関する情報を提供し、顧客の健康意識を高める。
地域貢献: 地域イベントへの参加や、地元の食材を使った商品開発などを通じて、地域との連携を深める。
2. 集中戦略
限られた経営資源を、特定の顧客層や地域、商品に集中させます。
ターゲット顧客の絞り込み: 健康志向の強い層、高齢者層、子育て世代など、特定のニーズを持つ顧客層に焦点を当てる。
エリアマーケティング: 特定の地域に集中的に出店し、地域住民との関係性を構築する。
一点集中主義: まずは一つの強みとなる商品やサービスを確立し、それを軸に事業を拡大していく。
3. 接近戦戦略
顧客との直接的なコミュニケーションを通じて、関係性を強化します。
対面販売の重視: 移動販売のメリットを活かし、顧客一人ひとりと丁寧なコミュニケーションを図る。
SNSでの積極的な情報発信: 商品情報、出店情報、日々の出来事などを発信し、顧客とのエンゲージメントを高める。
顧客の声の収集と反映: 顧客からのフィードバックを真摯に受け止め、商品やサービスの改善に活かす。
コミュニティ形成: 顧客同士が交流できる場を設けたり、イベントを企画したりすることで、ファンコミュニティを形成する。
4. 差別化されたポジショニングの確立
これらの戦略を組み合わせることで、「〇〇といえばあの豆腐屋さん」という独自のブランドイメージを確立し、競合との差別化を図ります。
例えば、「有機大豆を使ったこだわりの豆腐を、健康志向の強い女性に向けて、住宅街を中心に移動販売する」といった具体的なポジショニングを明確にすることが重要です。
(まとめ)
豆腐の移動販売に於ける成功の鍵は「一点突破」と「差別化」です。まずは小さな市場でNo.1を目指し、独自の強みを磨き上げることで、強いライバルがいる中でも十分に戦っていくことができます。
私のライバル店はマスコミにも度々、取り上げられるほどの有名店で市場を独占していました。まさに横綱ですから完全なる殿様商売を展開していました
私は、そこに「隙」があり「勝機」もあると確信したのです。
後は、その「隙」を突いて弱者の戦略をコツコツと積み上げるだけです。直ぐに結果は出ませんが、それでも3ヶ月位経つと、応援してくれるリピーターさんが増えてきました。世の中にライバルが皆無な業界は有り得ませんから、先ずは小さな市場で一番になることを目指すことが大切です