
豆腐の移動販売を始める時には、豆腐の品質が高いのは当然のこととして価格設定を、どうするか?も非常に大切な要素となります。良いもの(本物)は当然ながら高い!との認識を先ずは事業主である当人が持つべきです。ここがブレていると成功は有り得ません。
ただし、余りにも御客様との間に価格差があるのも問題になります。今回は私の実体験を基に価格設定をどのようにすべきか?また商品を御客様に購入頂く販売ルートに関して書いていきます
豆腐の移動販売戦略:価格設定
豆腐の移動販売を成功させるためには、適切な価格設定、効率的な販売ルートの構築、そして競合他社との差別化が不可欠です。私の場合は基本的に粗利益率を50%で設定していました。要は仕入れ金額の2倍で販売すると言うことです。結果的には、この価格設定で2年間やっています。
御客様から「高い」と言われることも有りますが、そういう御客様はリピーターにはなりませんから気にする必要はありません
本物を求める、金銭的に余裕のある御客様は決して「高い」とは言いません。しかしながら細かく解説すると下記になります
1. 豆腐の価格設定
価格設定は、売上と利益を大きく左右する重要な要素です。以下の点を考慮して、最適な価格を決定する必要があります
1.1 コストの把握
まず、豆腐の製造にかかるコストを正確に把握する必要があります。これには、原材料費(大豆、にがりなど)、製造にかかる人件費、光熱費、包装資材費、移動販売車の維持費(燃料費、車検代など)、減価償却費などが含まれます。これらのコストを合計し、販売する豆腐の量で割ることで、1丁あたりの原価を算出します。
1.2 利益の設定
次に、原価にどれくらいの利益を上乗せするかを決定します。利益率は、業界の平均や、自身のビジネス目標に合わせて設定します。一般的に、食品販売業の利益率は20~30%程度が目安とされますが、商品の特性や販売方法によって変動します。
1.3 競合価格の調査
近隣のスーパーマーケットや豆腐店、他の移動販売業者の価格を調査し、自社の価格が市場価格と大きくかけ離れていないかを確認します。競合他社との価格競争力を考慮しながら、価格帯を決定します。
1.4 付加価値の設定
高品質な原材料の使用、独自の製法、手作り感、希少性など、商品に付加価値がある場合は、多少高めの価格設定でも受け入れられる可能性があります。商品の特徴を明確にし、その価値に見合った価格を設定しましょう。私の場合は地元産の大豆を使っていること、濃度が市販の豆腐の約3倍であることをPOPdで目立つように貼っていました。新規客には非常に有効な方法です
1.5 価格設定の具体例
一般的な木綿豆腐/絹ごし豆腐: 300円~400円
お揚げ、厚揚げ: 200円~300円
これらの価格はあくまで一例であり、地域や商品の特性によって異なります。
2. 販売ルートの巡り方
効率的な販売ルートの構築は、売上を最大化するために非常に重要です。
2.1 ターゲット層の分析
どのようなお客様に豆腐を届けたいのかを明確にします。高齢者、ファミリー層、単身世帯など、ターゲット層によって需要のある場所や時間帯が異なります。
2.2 販売場所の選定
ターゲット層が多く集まる場所を選定します。
住宅街: 特に高齢者やファミリー層が多い地域では、定期的な訪問販売が有効です。
スーパーマーケットや商店街の近く: 買い物客のついで買いを狙えます。
オフィス街: 昼食時の需要が見込めます。
イベント会場や地域の集まり: 特定の日にまとまった販売が期待できます。
道の駅や観光地: 観光客向けのお土産需要が見込めます。
2.3 販売時間の設定
ターゲット層の生活パターンに合わせて、最も需要が見込める時間帯を設定します。
午前中: 高齢者や主婦層の買い物時間帯に合わせます。
夕方: 仕事帰りの会社員や買い物客を狙います。
週末: 家族連れの買い物やイベント参加者を見込みます。
2.4 ルートの効率化
複数の販売場所を効率的に回れるように、ルートを最適化します。地図アプリなどを活用して、移動距離と時間を最小限に抑えるルートを計画しましょう。
2.5 許可の取得
道路での販売や特定の場所での販売には、許可が必要な場合があります。事前に所轄の警察署や自治体に確認し、必要な許可を取得しましょう。
2.6 販売ルートの具体例
私が豆腐の移動販売をスタートした時の販売ルートは下記になります。ただし、今は平日9:00~17:00までの間で戸建だけに配達しています。これは固定客が完全に固まったからです。それまでは、下記のルートで巡回してました
・住宅街ルート
月曜日~金曜日:午前10時~午後6時
午前中はA町内の住宅街を巡回、午後はB町内の住宅街を巡回
火曜日と金曜日はC町内の高齢者向け住宅を訪問
・オフィス街ルート
月曜日~金曜日:午前11時~午後2時
オフィスビルの多いエリアを巡回
近隣の公園や休憩スペースでの販売も検討
・イベントルート
週末:地域のイベントやお祭りに参加
事前にイベント主催者に連絡し、出店場所や時間を確保
イベントに合わせて商品ラインナップを調整
(まとめ)
繰り返しになりますが先ずは自分自身が「本物は高い」との認識をブレずに持ち続けることが大事です。目の前の御客様も大事ですが、先を見据えることは、もっと大事です。リピーターにならない御客様は「価格」「時間帯」に関して自分の都合を言ってきます
私も起業当初は御客様が欲しいですから軸を、御客様に合わせていました。しかしながら3ヶ月くらいで軸を自分にしないと御客様に振り回されて売上も利益も残らないことに気づきました。
移動販売の豆腐屋に限らず、どんな商売でも成功している人は軸が自分にあります。それを口に出さないだけのことです。
御客様に振り回されないようにした結果が平日の9時~17時しか営業しない、今のスタイルが確立したとも言えますし、それに合わせてくれる御客様だけが残ってくれて、それに賛同してくれる御客様だけが新規で増える理想的な商売の形に、ようやくなってきました