
令和になり、デジタル化・キャッシュレス化が一段と進む中でも何故、豆腐の移動販売が見直されて復活しているのか?また豆腐の移動販売ではラッパを鳴らす為に「うるさい」とのクレームもありがちです。
ここでは私の経験を基に豆腐の移動販売が復活している理由と、うるさいとのクレーム対策に関して述べていきます
なぜ、豆腐の移動販売が復活しているのか?
かつては日常的な風景だった豆腐の移動販売が、近年再び注目を集め地域によっては活況を呈しています。この理由としては、単なる懐古趣味ではない、現代社会のニーズや構造変化が深く関わっています。
1. 高齢化と買い物弱者の増加:地域社会のインフラとしての再評価
日本社会の高齢化は進行の一途を辿り、特に地方や郊外においては、自家用車の運転が困難になったり、近隣に商店がなくなったりする「買い物弱者」が増加しています。このような状況下において、自宅近くまで来てくれる移動販売は、生活を支える重要なインフラとしての役割を担います。
豆腐は、日常的な食卓に欠かせない食品であり、保存が利きにくい生鮮食品でもあります。スーパーマーケットや商店が近くにない高齢者にとって、移動販売は新鮮な豆腐を手軽に購入できる貴重な機会となります。顔見知りの販売員との交流は、孤立しがちな高齢者にとって社会的なつながりを保つ上でも重要な意味を持ちます。
だからこそ、単に豆腐を売るだけではなく、御客様との会話が重要です。私は先行するライバル会社との差別化を図る為、また御客様のニーズを知る為に御客様との会話を重要視してました。ある程度、それが出来て居るからこそリピート率80%を維持出来て居ると考えています
2. 健康志向と食の安全への意識の高まり:手作り・無添加への信頼
近年、消費者の健康志向は高まり、食品の安全性に対する関心も強まっています。昔ながらの製法で作られた豆腐は、大量生産の豆腐に比べて添加物が少ない場合が多く、大豆本来の風味や栄養が豊かであるというイメージがあります。
移動販売では、製造者が直接販売することが多いため、消費者は豆腐の製法や原材料について直接質問することができます。このような透明性の高さは、食の安全を重視する消費者にとって大きな魅力となります。
「手作り」「天然にがり使用」といったキーワードは、安心感と美味しさを求める層に響きやすいと言えるでしょう。移動販売の豆腐は市販の豆腐と比較すると2倍以上はします。しかしながら本物を求める御客様は、本物は高いことを認識しています。
逆に価格にコダワル人はリピーターにはなりません。冷たいようですが、豆腐の移動販売で生き残る為には、お金に余裕のある本物志向の御客様(必ずリピーターになります)を増やしていくことが大切です
3. 移動販売の柔軟性と経済性:新たなビジネスモデルとしての可能性
実店舗を持つ豆腐店は、地代家賃や光熱費、人件費などの固定費がかかりますが、移動販売はこれらのコストを大幅に削減できます。また、需要のある場所や時間帯に合わせて柔軟に販売場所を変えることができるため、効率的な販売が可能です。
近年では、インターネットやSNSを活用して販売情報を発信したり、予約販売を受け付けたりする移動販売業者も増えており、顧客との接点を増やし、ビジネスチャンスを拡大しています。初期投資を抑えやすく、比較的参入しやすい移動販売は、新たな起業の形としても注目されています。
4. 地域社会とのつながりの再評価:顔の見える関係性の価値
高度経済成長期以降、効率化や合理化が進む中で、地域社会のつながりは希薄化する傾向にありました。しかし近年、地域コミュニティの重要性が見直され、顔の見える関係性へのニーズが高まっています。
移動販売は、単なる商品の売買だけでなく、販売員と地域住民との間でコミュニケーションが生まれる場となります。ちょっとした会話や情報交換を通じて、地域の一員としての連帯感や安心感が育まれます。特に高齢者にとっては、日々の生活における貴重な交流の機会となるでしょう。
5. ノスタルジーと原風景への回帰:失われつつあるものへの郷愁
かつては当たり前だった豆腐の移動販売の風景は、現代社会においては珍しいものとなりつつあります。そのため、移動販売の音や姿を目にすることで、懐かしさや温かい気持ちを抱く人も少なくありません。
高度に情報化され、効率化が進んだ現代社会において、昔ながらの手仕事や人との触れ合いといった原風景への郷愁は、人々の心に深く響くことがあります。豆腐の移動販売は、そのような失われつつある良き時代の記憶を呼び覚ます存在として、一定の支持を得ていると考えられます。
6. コロナ禍における変化:非接触型購買のニーズ
2020年以降のコロナ禍において、人々は密集を避け、非接触型の購買行動を求めるようになりました。移動販売は、屋外での販売であり、対面での接触時間を短縮できるため、感染リスクを抑えながら買い物ができる手段として再評価されました。この経験が、コロナ禍後も移動販売を利用する習慣として定着した可能性も考えられます。
豆腐の移動販売が「うるさい」と言われる理由?
一方で、豆腐の移動販売は、その販売方法や告知方法によって「うるさい」と感じられることがあります。
1. 拡声器によるアナウンス:音量と時間帯の問題
多くの豆腐の移動販売業者は、商品の到着や販売開始を知らせるために拡声器を使用します。しかし、住宅街など静かな環境においては、このアナウンスの音量が大きすぎたり、早朝や深夜など不適切な時間帯に行われたりすると、住民の生活を妨げる騒音となります。
特に、小さな子供がいる家庭や、夜勤明けで睡眠を取りたい人にとっては、拡声器の音は大きなストレスとなり得ます。「今日は豆腐の日です」「できたてのお豆腐はいかがですか」といったアナウンスが、何度も繰り返されたり、長時間続いたりする場合も、不快感が増す要因となります。
2. ラッパや音楽の使用:時代錯誤と騒音の認識
一部の移動販売業者はいまだに、昔ながらのラッパや独自の音楽を使用して集客を行っています。かつては親しみやすい音色として認識されていたかもしれませんが、現代においては騒音と感じる人も少なくありません。特に、単調なメロディーが繰り返し流されたり、音量が大きすぎたりすると、不快感やストレスにつながります。
3. 巡回ルートと頻度:生活リズムの阻害
移動販売車が特定のルートを頻繁に巡回する場合、その走行音や停車時のエンジン音、積み下ろし作業の音などが、住民の生活リズムを阻害する要因となることがあります。特に、狭い道路での頻繁な停車や発進は、交通の妨げになるだけでなく、騒音や排気ガスによる迷惑にもつながります。
また、決まった時間に必ず巡回してくることが、生活音の一部として認識され、慣れてしまう人もいる一方で、不規則な時間帯や予期せぬタイミングでの訪問は、騒音としてより強く感じられることがあります。
4. 販売場所と時間帯への配慮の欠如:公共空間の占有と迷惑行為
移動販売業者が、許可を得ていない場所や、交通の妨げになるような場所に長時間停車して販売を行ったり、早朝や深夜など、近隣住民が休息している時間帯に販売活動を行ったりする場合、騒音だけでなく、公共空間の不適切な占有や迷惑行為として認識されることがあります。
5. 情報提供の不足と一方的な告知:理解と協力の欠如
移動販売業者が、販売ルートや時間帯、アナウンスの内容や音量などについて、事前に地域住民に十分な情報提供を行っていない場合、住民は予期せぬ騒音に不快感を覚えることがあります。一方的な告知や、住民の意見を聞く姿勢がない場合、反感や不満は増幅しやすくなります。
地域住民とのコミュニケーション不足は、移動販売に対する理解や協力を得る上で大きな障壁となります。「生活に必要なサービスを提供してくれている」という認識を持ってもらうためには、丁寧な情報提供と対話が不可欠です。
6. 個々の感受性の違い:騒音に対する許容度の差
騒音に対する感じ方や許容度は、人それぞれ異なります。同じ音量のアナウンスでも、気にならない人もいれば、大きなストレスを感じる人もいます。特に、体調が優れない時や、集中して作業をしている時などは、普段は気にならない音でも過敏に感じてしまうことがあります。
(まとめ)
豆腐の移動販売が目に見えて復活してきたのは実はコロナ渦、以降なのです。人と人の接触を少なくする一方で、人と人との会話が少なくなったコロナ渦。そんな中で接触時間が短く、その中でも販売員との会話が楽しみな人にとっては豆腐の移動販売は
買い物弱者だけでなく、本物志向の御客様も巻き込み、日々、御客様は増えています
豆腐を販売するだけ…の豆腐屋は淘汰されてきました。今から生き残る、勝ち残るのは自ら御客様の所に飛び込んで、御客様のニーズを聞きだし、そしてニーズに確実に応えていく。そんな豆腐の移動販売ならば田舎であっても、強いライバルが居ても勝ち残る可能性は高いです。
その事を私自身、これからも証明していきます